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コラム

印鑑偽造を防止するには?見破り方とセキュリティ対策

WRITER
石井 慶
シヤチハタ株式会社 システム開発部 開発4課課長
1994年入社。入社5年後電子印鑑を共同開発したアスキー・ネットワーク・テクノロジー社に出向し何も知らなかったITの基礎を学ぶ。現部署に異動後、業務改革を実行する企業に寄り添う毎日を送っている。

プリンターやスキャナーなどの電子機器技術の発展に伴い、実印偽造のリスクは高まっています。実印は重要な契約に使用するため、偽造対策を講じておくことが重要です。本記事では、実印偽造の特徴と見破り方、実印偽造の防止策についてご説明します。

実印の複製は可能なのか

実印は、重要な契約などに使用する個人を証明する印鑑です。役所への登録は1人1本と決められ、紛失防止などのためにスペアを持つことは刑法第167条によって禁止されています。はんこ店は同一の文字であっても、同じ印影*1を持つ印鑑を作成しません。そのため、この世に同じ実印は存在しないといえます。実印を紛失した場合には、実印の廃止と再登録を行う必要があります。

法律によって実印の複製は禁止されているものの、コンピューター技術などを悪用した実印の偽造は残念ながら存在します。実印の偽造方法は大きく4つに分けられ、それぞれ見破る方法があります。

実印の偽造方法 見破る方法
1. スキャニング機能を悪用して印影を偽造する 原本の提出を要求する
2. 朱肉で押印可能な印面を偽造する プロの鑑定に出す
3. 印鑑そのものを偽造する プロの鑑定に出す
4. 手書きで偽造する 原本の提出を要求する

*1 印影:印鑑を押した際に残る、朱肉の跡のこと

参考:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=140AC0000000045#733

1.スキャニング機能を悪用して印影を偽造する

1つめは、プリンターやスキャナーのスキャニング機能を悪用して印影を偽造する方法です。スキャニング機能を悪用した印影偽造は以下のような特徴があります。

・本物の印影をパソコンに取り込んでいる
・画像編集ソフトを使用して、大きさや色を本物の印影に近づけている
・文字以外の背景を透明に加工して捺印したように見せかけている

スキャニング機能を悪用した印影偽造は、朱肉を使用して押印できないことが特徴です。そのため、偽造の疑いを持った場合には原本提出の要求が有効です。書類のカラーコピーしかないなど、朱肉を用いて押印した原本がない場合は印影偽造の可能性があるといえます。

2. 朱肉で押印可能な印面を偽造する

2つめは、書類に押された本物の印影から印面*2を偽造する方法です。印面偽造は以下のような特徴があります。

・本物の印影をパソコンに取り込んでいる
・画像編集ソフトを使用して、大きさや色を本物の印影に近づけている
・オリジナルスタンプが作成できる機器を悪用して印面を偽造している
・印面(スタンプ)が実物として存在するため、朱肉を使用して押印することができる

印面偽造は印面(スタンプ)が実物として存在することが特徴です。そのため、原本の提出を要求するだけでは不十分です。印面偽造の看破にはプロによる印章*3鑑定が有効です。他の印面と区別できるように、実印の印面には極小の線や点が掘られています。本物の印面に施された線や点は、偽造された印面では表現できないといわれています。プロの鑑定士は極小の線や点などをもとに、本物の印面と偽装された印面を見分けることが可能です。

*2 印面:はんこにおいて文字を掘る面のこと
*3 印章:はんこのこと。印章ははんこ全般を、印鑑は役所に登録されたはんこを指す

3. 印鑑そのものを偽造する

3つめは、印鑑そのものを偽造する方法です。印鑑偽造は以下のような特徴があります。

・本物そっくりな押印跡がつく
・かつては、はんこ店に複製を頼んだり、はんこ店を騙したりすることによって発生した
・近年では、3Dプリンターを悪用して偽造されている

印鑑偽造は本物そっくりな押印跡がつくことが特徴で、印面偽造よりも見破ることが難しいといわれています。印鑑偽造はプロによる印章鑑定が有効です。印鑑や印影の特徴だけでなく、原本に使用された朱肉の特徴を観察・測定することによって、偽造を見破ります。

4. 手書きで偽造する

4つめは、印影を手書きで偽造する方法です。手書きでの偽装は以下のような特徴があります。

・竹串や朱肉を使用し、手作業で偽造する
・偽造する人の技術によって出来が左右される

手書きでの偽造は、手作業であるのが特徴です。そのため、看破には原本の提出要求が有効です。色の濃淡が不揃いであることが多いといわれています。

実印偽造の防止策とは

では、実印の偽造はどのように防止すればよいのでしょうか。本記事では以下3つの防止策をご紹介します。

実印偽装の防止策
1. 手彫りのはんこを使用する
2. 偽造されにくい書体のはんこを使用する
3. 電子証明書付きの電子印鑑を併用する

1. 手彫りのはんこを使用する

もっとも効果的なのが手彫りのはんこを使用することです。手彫りのはんこは職人によって特殊な模様や線、点などを入れて作成されます。特殊な模様や線、点などは、プリンターやスキャナーを使用してパソコンに取り込むことが難しいといわれています。

2. 偽造されにくい書体のはんこを使用する

予算や時間の関係上、機械彫りのはんこを使用する場合は、偽造されにくい書体のはんこを使用するとよいでしょう。偽造されにくい書体は以下2つといわれています。

・篆書体(てんしょたい) 象形文字から生まれたとされる古い書体
・印相体(いんそうたい) 篆書体から作られている書体。文字がすべて接している

上記2つの書体は可読性が低く、線が複雑なため、偽造されにくいといわれています。はんこの書体を選ぶ際は、上記2つのどちらかから好きな方を選ぶとよいでしょう。

3. 電子証明書付きの電子印鑑を併用する

はんこそのものの使用頻度を減らすという方法もあります。電子文書の普及にともない、電子印鑑の利用が増えてきています。電子印鑑の効力は認印と同等です。しかし、電子証明書を付与することによって実印と同等の法的効力を発揮することが可能です。はんこや印影がなければ、偽造することはできません。はんこと合わせて、電子印鑑の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

電子システムの併用で実印偽造の防止

残念ながら実印の偽造は存在します。しかし、対策を講じることにより防ぐことが可能です。実印の偽造防止には、(1)手彫りのはんこを使用する、(2)偽造されにくい書体のはんこを使用する、(3)電子印鑑を併用することが有効です。万が一偽造を疑った場合は、原本提出を要求したり、プロの鑑定を依頼したりしましょう。実印の偽造は刑法で禁じられているため、厳粛に対応することが重要です。

シヤチハタの「パソコン決裁Cloud」は書類の回覧・捺印をクラウド上で完結できるサービスです。シヤチハタの提供する「ドキュサイン」と合わせて使用することで、電子印鑑に電子証明書を付与することが可能になります。電子印鑑に実印と同等の法的効力を持たせることができます。